マイスターの技

A4 Garage

A4 Garageというyoutubeチャンネルにハマってしまっています。
内容はひたすらプラモデルを作っている様子が写っている、というもの。
淡々と人が作業している様子を訪問者の我々が作者の目線で見ている動画なんです。
なので、まぁ、見る人を選ぶ動画なのかもしれませんね。

GoProのようなウエアラブルカメラをたぶん頭に装着、録画しながら作っているものと思われます。
頭の右側につけているようでメガネのフチがちょこっと写りこんでいる場面があったり、カメラの画角から視線がちょっとずれて、作成している手元が一瞬ですが写っていない時もあります。

A4 Garageという名前の由来は紙のA4サイズのガレージに収まる大きさで、ということ。
なので作っているのは自動車の模型ばかりであり、スケールはいずれも24分の1。
乗用車であればアメリカンフルサイズカーでもA4サイズに難なく収まるスケールということですね。

超絶技巧

でもって、何がすごいかというと圧倒的な「超絶技巧」ぶり。
とにかく再現できる限りは実車にとことん忠実に作りこんでいく徹底的なこだわり方。
チャンネルに寄せられるコメントの中に「超精密な作業はまるで時計職人のよう」という表現がありましたが、まさにこれがぴったりの表現。

プラスチックモデルの中でも実物の自動車、飛行機などを縮小したスケールモデルがたくさん市販されていますよね。
ただ市販されているキットはコストやサイズ、プラ材ゆえの強度などの面で実物を忠実に再現するにしても限度があります。
そのため市販の自動車キットではインテリア、エンジン回り、足回りとかは結構適当に省略されていたりしますが、この作者は一切妥協しません。

もともとキットで再現されていない部品は自分で作ります。たとえば実車をレストアする職人が手に入らない部品を手作りするような感じです。
プラ材、金属線、極小・極薄のエッチング部品などを切削・研磨・加熱・鍛造など加工して見事にパーツを作り出していく過程はついつい見入ってしまいます。

限りなく本物に近い

さらに驚くのは実車で可動する部分もできる限り実車どおりに動かせるというギミックまで再現してしまう事。
つまり、ドア、ボンネット、トランク、車種によってはライト、サイドウインドウなどを開閉できるようにしてしまうのです。
やはりこうしたギミックもメーカー側ではコスト面やプラ材の強度の面などから省略しがち。24分の1くらいの小スケールでは特にそうです。

ですから元々閉じた状態でボディーと一体成形されているドア、ボンネット、トランクリッドなどをカッターで切り出して、金属などでドアヒンジを自作。
もちろんドアの内張、内側のドアノブ、レギュレーター、時にはボンネット、トランクを閉めた時のロック機構までも再現してしまいます。
当然エンジン回りにも追加工作が行き届き、エンジン本体の他に周辺の補器類も精巧に再現、それらを繋ぐコード、パイプ、ベルト類も末端の接続金具類まで細密に再現されます。

本当に非常に細密で正確無比な作業を見ていると、まさにスイスの腕利き時計職人のそれにも近いように感じますね。まず目が良くないとできないな。私にはもう無理。
こうしたひとつひとつを制作していく過程をずっと見せてもらえるというわけで、この手の動画って私としては「ずーっと引き込まれるように見ていられる」ものであります。

心地よく見せてくれる

たぶん作業の準備として各部の採寸や設計、計算は緻密に行われ、試行錯誤もされているのだと思いますが動画で見れるのは制作のパートのみ。
ですから、じっくりと丁寧な作業ですが、過不足なく途中適宜割愛しながらサクサクと出来ていく様子を楽しむことができます。

さらに特筆したいのが「音が良い」。音が良いとはつまり余分なBGMは入っていないという事。あ、初期の投稿ではBGMがあったかな?記憶があいまいですが。
ですから聞こえてくるのは、パーツをニッパーで切ったり、カッターで削ったりする音、ヤスリで研磨する音、塗装時のエアブラシの音など実際の作業音のみ。
オープニングとエンディングに制作での緊張を弛緩するようなやさしい音楽がちょいとあるのみで、ひたすら作業見学に集中できます(私の場合ですが)。

丹念に丁寧に作りこまれ超精密で、さらに艶やかに美しく塗装された完成品はもはや模型と言うよりも美術品か芸術品!
こうなると実物との相違はガソリンを燃料にして走らないことだけかもしれない!?

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